しゅふなせいかつ ごはんときどき読書

都会を離れ、山の麓の町に暮らして四十年。食べること、読んだ本 のこと。

さつまいもの蒸しパン 「おばあちゃんのおやつ」(朝日新聞学芸部編)から

 

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  今年のさつまいもの収穫。春の長い寒さと天候の不順のせいか、去年のような収穫はありません。一昨年はイノシシにやられて全滅、去年はイノシシ対策は万全で、気候も問題なかったのか、たくさん穫れて、おやつのふかし芋、焼き芋、天ぷら、など一年楽しみました。

今年も、と期待していたので、夫はがっかりです。

「今年は、ダメだね。」の一言。

 

貴重なさつまいもを使って蒸しパンを作りました。

 

  昭和六十二年版「おばあちゃんのおやつ」朝日新聞社刊に載っている蒸しパンです。

山で働く人たちのおやつ、と紹介があります。

黒砂糖の粒入りと、紫蘇入りが載っていますが、粉黒糖とさつまいもを入れて作ることにします。

 

これは、子どもが小さい頃よく作ったものです。

小さなカップに分けて作るのではなく、小ぶりのザルにぬれ布巾を敷いて、タネを流し入れ、イッキに蒸し上げるダイナミックな作り方です。

当時使っていた金のザルが見つからず、持ち手のついたザルを利用しましたが、どうなるでしょう。本には、直径18センチくらいの浅めのザルとあります。

 

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小麦粉200グラム、ベーキングパウダー小さじ2、を振るって、

卵1個、水2/3カップ、を混ぜた中に加えます。黒砂糖60グラムも入れてざっくり混ぜます。

さつまいもは2センチ角くらいに切って、軽く茹でておきました。

どろりとしたたタネを布巾を敷いたザルにあけます。

 蒸し器の中に入れ、強火で15分、何とか蒸し上がりました。

 

 

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売っているものや、ホットケーキミックスで作る蒸しパンとは違って、もっちり、どっしり、腹もちもよさそう。

砂糖を入れずに作って、食べる時に、バターや、ハチミツを付けてもおいしいです。おやつというより、ごはん感覚です。

 

「おばあちゃんのおやつ」は朝日新聞家庭欄に昭和57年から5年間連載されていた記事だそうです。全国から寄せられたおやつを再取材して、試作をして、掲載したとのこと。昔の人の知恵に驚いたとあります。

昔からある、手近な材料で作る本当にバラエティ豊かなおやつ、軽食、日本各地の伝統的行事食が紹介されていて、私もこの中の何種類かを作りました。

カラー写真もなく、カットもほとんどなく、文章だけですが、作ってみたいおやつがたくさん載っています。

豚肉レシピ ミルフィ-ユカツ和風  ねり梅と青じそをはさんで

昨日作ったねり梅をおにぎりにのせるだけでなく、魚や肉に使いたいな、とこれまで作ったおかずを振り返って、思い当たりました。

 

巷では、ミルフィーユカツなどと呼ばれているでしょうか。豚の薄切り肉を重ねて、衣をつけて揚げる、経済的で食べやすいとんかつ。

肉の間にスパイスを振ったり、チーズをはさんだり、いろいろですが、うちでは、

昨日作ったねり梅をさっそく使って、ねり梅と青じそをはさんだサッパリ系カツに。

ソースをかけてもかけなくてもおいしくいただけます。

 

豚薄切り肉を広げて、ねり梅、青じそをおきます。そのまま三つ折りにして、衣を付けて揚げます。

 

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小さいので、パクパク、おつまみにもいけそうです。 

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ポテトサラダは、じゃがいもにさらし玉ねぎときゅうりの薄切りを、マヨネーズで和えました。 トマトは切って、オリーブ油と塩コショー、酢で和えて添えました。

 

以前、年配の方がお客様で、ちょうどお昼時、これを作ってお出しして、喜ばれたことあります。安い材料でも、手がかかっている感じになります。

その時は梅干しをいちいちタネをぬいて、実をたたいて、とひと手間かかりましたが、ねり梅があればもっと簡単です。

でも、ねり梅は少なめで大丈夫。せっかく作ったからと張り切って、いっぱいはさんだら、当たり前ですが、すっぱいです。分量を変えてはさんでみたら、ねり梅ひかえめが、一番おいしかったです。

 

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 とりのささみなどでもおいしそうです。紫蘇のかわりに海苔もいいですね。

少ない油で揚げられるのがいいです。 

ちなみに夫の感想は、「これ、何の肉?」

娘と私はおいしくいただきましたよ、それは。

 

 

シソの実の塩漬け/梅びしお ( ねり梅)

  

台風一過。青空は出るものの、昨日は不穏な強い風と急に熱くなった日射しで、まだとても秋の心地よさには程遠い感じでしたが、今朝は静かになっていました。

災害に見舞われ、日々の暮しもたたない地域があることを思うと、何事もなかったような青空が、腹立たしい気もします。

朝夕、寒暖の差が激しくて、着たり脱いだり、体調をこわさないように気を使います。

 

今日は、青紫蘇の実を採りに畑に行きました。

 

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青紫蘇の実は、短い間の収穫です。

時々様子を見に行っていても、毎年、ああもうタネになりそう、とあわてて残りのまだ柔らかい実を摘みます。 

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パラパラと手でしごくように摘んで水洗いの後、アク抜きのため、熱湯でサッとゆでてから、水に浸けます。いつもはあくぬきなどしないで、すぐ塩に漬けていましたが、これは間違いのようで、より美味にするにはあくぬきの手間が必要みたいです。熱湯でゆでるとあおあおと色がきれい、とネットの情報にありました。

水気を切って、塩に漬けます。

今日は、重さが100グラムほどなので、20パーセント、20グラムの塩で漬けました。

使うときは少し塩出しします。

 

梅びしお (ねり梅)

 

 

今年の梅干しは色よく柔らかく漬かって、塩分も18パーセントといつもより多めの割に甘みがあっておいしくなってきました。あんまりおいしいので、早く無くなってしまうのが心配で、残っていた一昨年の梅干しを使って梅びしおを作ることにしました。

 

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 梅干しは水に浸け、少し塩分が残るくらいにする。

うちのはもともと減塩で、塩分15パーセントなので1時間くらい水に浸けました。

タネを除き、重さを測ると250g、甘いのが苦手なので、砂糖、みりん各大さじ1

を加えて火にかけます。

ホーローの鍋と木のスプーンで、混ぜながら、ぽってりするまで煮ます。

 

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保存食と言っても、一年もたせるわけではなく、冷蔵庫で保存しておいしいうちに食べきる、という考えです。保存ビンも簡単な熱湯消毒で梅酢を回しかけて終わり。

今は一年中何でもありますし、こんな田舎でも車で行けば近くにスーパーもあります。

ただ、自然の生り物を無駄にしたくないのと、おいしいものが食べたい一心で手間をかけているということでしょうか。

今日のお昼 紫蘇の実ごはん、栗ごはんの残りのおにぎり

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塩に漬けたばかりのシソの実をご飯に混ぜました。

ワンプレートご飯の実践 ちくわのフライにトマトソース

ちくわのフライは夜のメインにはちょっと役不足かなと思っていましたが、今回はワキ役に助けてもらって、何とか目先の変わったちくわのおかずになりました。

牛肉とごぼうの香り高い煮物を合わせてみました。

 

 

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 牛小間と糸こんにゃく、ごぼうの煮物

  ごぼうと糸こんにゃくをごま油と牛脂で炒めてから、水、酒、砂糖を入れて、煮立ったら、しょう油も加え、ごぼうが8部通り柔らかくなるまで煮ます。

牛肉を加え、5分位煮込んで味を絡ませてできあがり。

 

前もって作っておけるし、これは常備菜として、明日も食べられます。

 

ちくわのフライ

 ちくわはフライの衣をつけて揚げます。丸ごと揚げて、切り分けました。

ケチャップにトマトを1センチ角くらいに切ったものを加えて火にかけて、ちょっと煮詰めます。

このソースをフライにかけます。

 

キャベツは塩もみにして、付け合せます。

 

 

 

 ちくわの穴にチーズを入れてフライにした「ちくわのチーズフライ」というのが、昔給食にありました。

小林カツ代さんがお弁当の本で、給食にでてきたふしぎでおいしいおかずと紹介しています。小さい子がいるおうちではきっと喜ばれるおかず。

簡単ですが、かわいいおかずだな、と思います。

 

ちなみにうちの花畑には、ハナビシソウが春は満開、その後も切り戻せば、途切れながらも、秋まで咲いています。

黄色い蝶々のような、よく見る花です。

花作りが下手で、立派な花がなかなか咲かせられないのですが、気軽に咲いて、花の乏しい時も、花壇を彩ってくれるハナビシソウを「ちくわみたいだね」と言って見ています。

いつもはメインでないけれど、あると助かるもの。

りんご入り秋のホットケーキ

暗い雨の日曜日。

 

朝起きたらもう薪ストーブが焚かれていました。

TVをつけると台風情報、避難勧告の地域もテロップで流れます。

 

窓から見える木々の葉も濡れて、夏はありがたかった木陰が暗く思えます。

 

こんな日も一日は始まります。

 

冷蔵庫に残っていたりんご1個、青くて新鮮でしたが、固くて甘みに乏しいので、生食ではイマイチ。サラダにも使いそびれて日が経ってしまいました。

 

またまたホットケーキに焼き込んでみます。

予想ではもっとアップルケーキっぽい見た目になるはずでしたが、お味は上々でした。

りんごは洗って皮ごと薄い扇型に切っておく。

ホットケーキミックスを書いてある分量どおりの卵、牛乳を入れ、フライパンに流し、ちょっと固まりかけた頃、りんごをていねいに並べて埋め込むようにおきます。

上から、きび砂糖をパラパラふりかけます。表面がふっくらプツプツ穴が空いてきたら、裏返し、普通に焼き上げます。

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実はこれを朝食にと思ったのですが、美味しそうな鮭のカマもあって、昨夜の雑穀ご飯もおいしかったので、その残りで和食となりました。

 

そのあと、ホットケーキを一切れずつ、メープルシロップもなくて、そのまま食後のコーヒーといただきました。

 

紅玉などが出てきたら、もっと本格的なりんごケーキを焼いてみたいですが、とりあえず、りんごの季節だよね〜というアピールでした。。

 

野菜室のりんごを片付けたところで、今日は冷蔵庫の整理の日となりました。

ワンプレートご飯の実践 イワシの蒲焼丼

台風接近で週末の予定に影響が出る方も多いことと思います。

TVのニュースでは、あちこちで収穫祭のような催しが企画されているし、敬老の日のイベントの案内もありました。

九月は 、晴れれば本当に気持ちのいい季節ですが、台風の影響も受けやすくて、大事な時に大荒れの天気だったという経験が何回もあります。

風雨がひどくなる前に買い出しに行って来ました。

 

ここ数日、息子が夕飯を食べにきていたので、若い人向けの張り切った献立でしたが、今日からまた質素にいきます。

洗い物も少なくなりますように! 

開いて売っているイワシを使ったお気楽メニューです。

 

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イワシは小麦粉をまぶして、油を引いてよく熱したフライパンで両面を焼きます。

いったん火を止めて、タレを回しかけます。山椒の実の醤油煮があったので小さじ1くらい加え、ちょっとだけ煮詰めて出来上がり。

 ご飯の上に盛り付けます。

 

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付け合わせはキャベツのソテーです。ワカメと油揚げの味噌汁といっしょに。

タレの材料       酒 1、しょうゆ 2、みりん1、砂糖  1の割合であらかじめ小鉢に合わせておきます。

 

 イワシは手開きもできますが、蒲焼の時はきれいに開いてあるのを買って、手間を省き、しょっちゅう気軽に作れるようにしています。

 

いつもは白いご飯にのせますが、今日は雑穀ご飯でした。山椒の実がピリッと美味しく、また季節には実を採ってしょうゆ煮にしなくてはと思いました。 

 

夜になって、ついこの間しまったと思った炬燵やウールのカーペットが恋しくなりました。

 

 

「『ごはんの時間 』 井上ひさしがいた風景 」 を読んで

図書費節減の折、心惹かれる新刊があっても、まずは図書館にリクエスト、ということが多くなりました。それでも、どうしても手元において読み返したい本に出会うことがあります。この「ごはんの時間」井上ひさしがいた風景 (新潮社)井上 都著がそうです。

 

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著者は作家井上ひさしの長女です。井上ひさしは二度結婚し、「旧井上家」と著者が呼んでいるところの、最初の家庭の長女です。

 食べ物にまつわるエピソードですが、現代を生きる女性の、等身大の日常に胸を突かれます。

 出てくる食べ物の一つ一つに、記憶が重なり、それらを繋ぐと著者の人生が鮮やかに浮かび上がります。

幸せな子ども時代。

両親の離婚により劇団の代表を引き受け、制作者として父に育ててもらう日々。

やがて劇団を離れ、連れ合いも失くし、息子と暮らす日々。

 

 著者は50代なので、世間的には、若いとは言えない年齢かも知れません。

しかし、著者の感性はみずみずしく、あらゆる出来事が過去と現在と未来への思いにつながります。

時には色濃い父との日々の記憶が綴られます。

 

幼い頃の楽しい思い出から、劇団の仕事をするようになった時の父の言葉。

 「制作者というのは、いわば人間の専門家だよ。芝居を通して人生の問題を考える。それが君の仕事。」

 劇団を離れて初めてなくしたものの大きさに気づいた、とあります。

 

父を亡くし、劇団も辞め、明日の仕事の当てもない時、景気づけにきれいなオレンジ色の高価な鍋を買ったエピソード。

分不相応と後悔したりしますが、ある日息子と二人の夕食にポトフを煮ながら、そのオレンジ色の鍋から、上がってゆく湯気を、「なんとかなる、なんとかなると言っているように」感じます。

人は何かささやかな物に希望を託すことがあるのだ、と、自分自身の切ない記憶もよみがえりました。

 

 

「 鶏団子鍋」のところで、著者は父の作品を読んだことがないと打ち明けます。

父が死んで初めて父が何を書いていたのか知りたくなった。父の小説が今なら読めるかも     中略    鍋にしようと割にあっさりときめられたのは、その本を手にしたからでもあった。本の中に父の軌跡があるように、鍋に人の一生があるような気がした。

鍋ならば、グツグツ煮込まれスープがおいしくなっているはずの人の50代、

私という鍋にいままた父の小説を入れたら、どんなおじやになるのだろう。 

歳月を経て、遠くなったはずの過去なのに、親というものには近ずいていくのでしょうか。

 

 また、著者が何十年ぶりかで、恩師に会う場面がありました。小学校時代のクラスメート数人で今は一人暮らしの先生を訪ねるのです。

高齢の先生に負担をかけないよう仕出し弁当も用意されているのですが、先生はお赤飯を炊いて迎えて下さる。

ひとしきり楽しかった子供時代に帰り、台所に立つ先生をふと見れば、見覚えのある格子のスカート。先生が教壇に立っていたころがよみがえります。

 

 著者はそこで「ああ 人生は涙の谷  」と書いています。

そう言葉にできた時、人間としての強度は増すように思います。

 

 生きて行くことの手触りが感じられる作品です。

 

あとがきに

 

私と同じように今夜の献立に悩みながら今日も台所に 立っているだろう

お母さんを、やっと週末だとホッと一息、いま正に新聞を広げているだろう人を、くたびれたあ、やれやれ新聞でも読むかあと何気なくなく新聞を手にした誰かを想像しながら、その人にあてて手紙をかくつもりで

 

とあります。著者は弱いもの、生活するものに語りかけているのです。

 

 これは新聞の夕刊に連載されていたもので、食材の具体的な調理法なども書かれています。悲しい時も苦しい時も、人は食べるのですから。それを担うのが母親であり、女、主にですが。

 

 

嬉しかったのは、お母様の好子さんの健在ぶり。

昔、愛読していた雑誌に当時井上好子さんは、ショートカットにキリッとした和服姿で登場されていて、それを見た夫が「誰この人?美人だねえ」と言っていたのを思い出します。江戸っ子なので、ひさしさんをシサシさんと呼ぶこと。

また「男がヒゲを生やしたら、そんなに暇なの、と思う」というようなことをおっしゃっていましたから、しばらく後で、井上ひさし氏のひげ面をTVで見た時は、驚きました。あれは離婚の前だったのか、後だったのか。

 

井上ひさしと共にいた時はいかにも有能な秘書のようでしが、今は遊びに来た娘たちが帰る時、それぞれに白菜漬けを樽ごと持たせる肝っ玉おふくろ然とした姿が書かれています。

再婚相手と暮らす母の家は、それはそれで著者にとって小さな港に違いありません。